甲子園のブラバンの定番「紅」の件について
定番編
「10年以上前からあるんじゃないの?」
甲子園の応援歌と言えば、「紅」をあげる人が多いようです。
今の20代より若い人はXJAPANといってもピンとこず、この甲子園のブラバンで聞いて知る人も多いかもしれません。
平成25年8月17日 選手権3回戦 大阪桐蔭対明徳義塾 甲子園
XJAPANってどんな人?という10代の方のために。
こんな人達です。
(出典:http://ticketcamp.net/visual-blog/wp-content/uploads/sites/7/2014/08/xjapan_a03.jpg)
どうでしょうか(笑)?
世代によって捉え方があると思います。ちなみに私にとっては「カリスマ」というイメージです。
2014夏の甲子園 九州国際大附の応援 アナ雪ほかメドレー 夏甲子園で東海大四と戦った九州国際大学付属高校の応援 彼らの紅が凄く記憶に残ってる 凄く良かった http://t.co/6eobexjJix
— 早川功城 (@Hayakawa_0430) 2015, 2月 25
このXJAPANの紅の曲に関しては、違和感を感じる人もいるようです。
以前、人気デュオ「ゆず」の北川さんがラジオでこの件に関して語っていました。(こんな感じで会話をしていた気がします)
北川さん「あれ、(XJAPANの)『紅』なんだね。あれ、なんで~?」
岩沢さん「智弁和歌山などチームカラーがあるじゃないですか」
北川さん「ああ~、でもあれ手首を染める紅だよ・・・」
岩沢さん「まあ、歌詞を追っちゃうとね・・・」
北川さん「Xファンからすると『紅』が甲子園で流れることはいいんだけど」
岩沢さん「熱く燃え上がれ!みたいな」
北川さん「狙い撃ちはわかるよ。でも、『紅に染まったこの俺をなぐさめる奴はもういない』。ま、いいんだけどすごく気になる。しかも1校じゃなくてけっこうな学校で使用していますよね。あれなんでなんだろうと思うんだよね」
確かに、言われてみるとなぜ紅が使われているんでしょうか?
甲子園の応援で紅とか流れてて最近は応援もモダンじゃのうとか思ったけどよく考えたら30年前の歌だよね
— にーつぁ/Oriと暗闇の森 (@nizah) 2014, 8月 24
X-JAPANも作曲当時「紅」がここまで甲子園でかかるとは思わなかっただろうな。
— ▼皿▼ (@mamono_jingu) 2014, 8月 24
「紅」は当時「X」が1989年9月1日にリリースした3作目のシングルです。実は、理由はいくつかの候補があるようです。
①甲子園の優勝旗の色が紅だから
いわゆる“夏の甲子園”(全国高等学校野球選手権大会)の優勝旗は印象的な赤い色で「深紅の優勝旗」と呼ばれます。
しかし、甲子園の旗が紅色だから・・・。うーむ。たまたまな気もします。
②広島カープの選手の応援歌だったから
『紅』は1989年に発売されましたが、1992年に広島東洋カープの江藤智選手の応援歌に使用されました。この曲を聞いていい!と思って採用した可能性がありますね。
③この曲がヒット曲だから
現在でもAKBやアナ雪の曲が応援曲として使用されるように、ヒットしたので使用されたのではないでしょうか?
テンポもいいしかっこいいし
意外と知らない?甲子園の応援歌の決定とブラバンの苦悩
しかし、甲子園の応援歌の曲はどうやって決まるのでしょう?
実は、この曲の決定はけっこう大変なのです。
まず、甲子園のベンチ入りできる人数ですが18名。このすべての選手が打席に立つ可能性がありますから、この時点で18人分の曲を決める必要があります。
プロ野球とは違い新たに作曲するということは基本しません。
強豪校のブラスバンド部はレベルも高く甲子園に出場する可能性もありますから、対応力はがあります。だからオリジナル曲でもつくることができます。
甲子園の応援曲の定番は決まっています。暗黙の了解で主力から名曲を選択していきますので、補欠組ではダブることもしばしば。学校によっては、数多くの曲が用意されていることもあります。
これでやっと吹奏楽部のみなさんに曲が伝達されます。後から知りましたが、面倒な曲はけっこう負担らしいです。もともと甲子園に興味がない人もいますからね。野球部は、お願いすればなんでも吹いてもらえると勘違いしているのですが・・・。
さて、この18曲に加え、チャンスの場面でかける曲があります。ランナーが塁に出て得点できそうな時など、応援団長の判断で曲が指定されます。
テレビではあまり見ないかもしれませんが、こんな感じです。
スケッチブックに曲名を書いて曲を指定します。ちなみに「応援団」はベンチ入りできなかった野球部員が務めることもあります。
実は、「現役の」吹奏楽部がいないことがあるんです
甲子園に出場するレベルの学校の吹奏楽部は、レベルが高いことがあります。すると、甲子園の時期とコンクールなどの時期が重なって甲子園の応援に参加できないこともあります。
たびたびあることらしいのですが、私が知っているケースは2009年の夏の甲子園の天理高校です。
吹奏楽部のレベルが高く、噂によると一軍・二軍・・・というチーム分けがあるくらいです。この年の応援はすべてOBによる演奏ということでした。OBの方も、経験者とは言え、素晴らしい演奏をされたのはすごいですよね。
(この時、現役の吹奏楽部の方々はコンクールのために欠席したという説と、インフルエンザが原因である説があります)
このように強豪校の吹奏楽部では、OBが演奏することもありますが、一軍がコンクールに参加し、二軍が甲子園の応援に行くということがあるそうです。
吹奏楽部は、甲子園の応援はお嫌い??
この話は現役の野球部の方は知らない方がいいかもしれません。甲子園のブラバンの応援は甲子園の華ですし、いかにも青春!という感じがします。が、これは「野球ファン」サイドの見方のようです。
野球部にとって甲子園が目標であるように、吹奏楽部にとってもコンクールは一番の目標。そのコンクールのために練習をしたいのに、野球のお手伝いをしないといけない・・・、と思う部員もいるようです。当然と言えば、当然・・・。
いくつか理由がありますが、どれも納得のいくもの。例えば、
・スポーツの応援の吹き方とコンクールの吹き方では違う。吹き方が変わると影響が出てしまう。吹奏楽部の顧問によっては、応援を露骨に嫌がる方もいるようです。
・楽器を炎天下の中で演奏すると、ものすごく傷んでしまう。繊細な音を出すことはできず、練習用の楽器や初心者用の楽器くらいにしか使い道がない。
・甲子園までの移動が思いの他、負担になる。さらにファールボールが飛んできて楽器に直撃するなど、ケガの恐怖もあった。
・雨の中でも演奏することがあるのが大変。そもそも、吹奏楽部は反響音のない外で演奏するものではない。
・野球部の試合なのに、なぜか「応援で試合が決まる」という謎の根性論があり、対戦相手との演奏と比較され、負けるとなぜか反省会のようなものがある。野球部専用の部活じゃないのに。
どれも納得できますね。
ただ、最後にテレビに映ってよかった、感動の体験ができた、という部員もたくさんいることを伝えておきます。